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校正と校閲

前回の続き、ライターから送られた原稿がどうなるかだ。
原稿が送られてくると、まず担当者が目を通す。その時点で大まかな内容の確認(注文と合っているか)と文字数の確認をする。
それから校正をするわけだが、大抵は「てにをは」のチェックや変換ミス程度のチェックしかしない。あとは差別用語のチェックかな。
なんでかというと、まず「書いてある原稿にウソや間違いはない」という思い込みの前提があるからだ。「だってこっちはそのために金払ってるんだから、いくらなんでもきちんと調べてるでしょ」ということだ。さらに博識の唐沢氏の原稿にガセがあるなんて思ってもいなかった。つまり最初から校正だけで、そもそも校閲をしようとはしていないということだ。校閲の目で読んでない。だから仮に(いや、仮じゃないか)「ロバート・ケネディ大統領」という文字が出て来ても校正の目だとスルーしてしまう。だって字としては間違ってないから。
『フィギュア王』のワールドフォトプレス社は雑誌ということもあるが校閲は通してない。編集部で回し読みして、読んだ人がサインして、サインが3つになったら「3人が目を通した」ということでそれで終わりだ。(現在は分かりません)編集部の中には校正を適当に流してる「ザル」と呼ばれる者もいて、単純な変換ミスさえも見逃してしまうこともよくあった。こんなだからガセの発見なんて夢のまた夢である。
これが中堅以上の版元になると、校閲も通すようになるからガセの確立はぐんと減る。ちなみに『新UFO入門』は校閲通してます。唐沢氏の原稿にガセが多いのは、弱小出版社が校閲を行っていないのが原因のひとつだ。校閲はそれだけでプロの職業として成り立っている仕事で、比べればはるかに知識の乏しい編集者に校閲を望むのは無理だ。しかし、これでも、校正、校閲が完璧に行われたとしても盗用を見抜くのは不可能だ。盗用した文章に間違いがなければどっちの目にも引っかからないのである。検証班氏のように、最初から「何かあるのでは」と疑いの目で調べていかないとダメだろう。検証班氏が凄いのはその校正・校閲・盗用チェックの作業を、それもあのスピードで行っているというところだと思う。彼の検証作業を「素人レベルでもこれだけ出来るのに」などと言ってはいけない。アタマの中に相当に蓄積されたデータと校閲のセンスがないとなかなかあそこまでの検証はできないと思う。少なくともそのへんの編集者には無理でしょう。

というわけで、このようにしてガセやパクリの原稿が出版物となり世に出てしまうのである。

さて、そんな中でも実は早くから唐沢氏のガセを指摘していた人物がいた。それは友人でもある町山智浩氏である。
以下は2000年ごろの自分と町山氏との会話だ。印象的なやりとりだったので忘れていない。
町山「あのさ、唐沢のこといつまで使ってるの、あいつの書いてることってガセばっかりじゃん」
額田「そうなの? オレ気がつかなかったけど」
町山「だってあんなウスいヤツいないぜ」
額田「それってさ、町山さんが濃過ぎるんだよ。町山さんから見ればどんな人だってウスイって。とくにうちの雑誌の場合は濃過ぎては逆にダメなんだよ。そういうのを分かってて唐沢さんは書いてる部分もあると思うよ」

当時は柳下氏と唐沢氏とのケンカがあったので、そのへんの恨みもあり、こんなこと言うんだろうと思っていた自分のマヌケさ加減が恥ずかしい限りだ。結局自分にはガセを見抜くことはできなかった。


ところで、今日、唐沢氏の担当編集者の一人とコンタクトを取ることが出来た。
想像以上に唐沢氏の業界内での評判が悪いことに驚いていた。「そんなこととっくに分かってたんじゃないの?」と言いたかったが、担当ですらこれだから、まだまだ唐沢氏の置かれている状況を知らない人はたくさんいるのだと思う。

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