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2009年12月

作戦としてもよくないと思う

先日、知り合いからぼくが「唐沢氏を追いつめている」と言われて驚いてしまった。
もちろん、ぼくの日記からそう取れたならば、それはそれで仕方ない。読み手がどう受け取ろうが自由である。ただ、そう取られてしまった原因は自分の文章力、伝える力があまりにも稚拙だったということでちょっとブルーだ。

というのも自分はずっと「自分も含めた編集者の責任」ということを書き続けて来たつもりだったからだ。追いつめるどころか、唐沢氏ばかり追求しないで、もっと編集者を追求すべきだとさえ思っている。だって唐沢氏の原稿にOKを出したのは担当編集なんだから。なので、ぼくの立場としては追求なんてそんな大それたこと、こっちだって追求される側なんだから。

それからよく言われたのが「もっと酷くていい加減なライターはたくさんいる、唐沢氏がここまで叩かれるべきなのか」という意見だ。これに関してはガセ&パクリについては確かにそうだろう。検証されてないだけでもっと悪質な例はきっとたくさんあるだろう。だけど、唐沢氏に関してはそれ以外、漫棚通信氏への誠意なき対応も含めての批判だろうと思うので、ちょっと事情が違うかなと思う。

ただ、これに関しても、弁護士を立てての法的な解決を図るより前に、もう少し当事者同士でできたことがなかったのかと思った。会社対個人では圧倒的に個人が不利だ。すぐに法務に回されて「これ以降は弁護士から連絡させます」というやり方では、資力で劣る個人ではまず勝てない、ほとんどがあきらめてしまうか、適当にまるめこまれてしまう。そうなるとその怒りはブログ等で発散するしかない。これは唐沢氏の場合非常によくないパターンだ。唐沢氏の問題を扱うとぼくのブログで大体1500から2000程度のPVがある。これはおそらく唐沢氏の著書の実売数を考えると、かなりのパーセンテージを占める数字だろうと予想される、半分以上だろうか。つまり唐沢氏の本来の読者はこういう話題にとても関心があるということだ。となるとそれだけの数の読者を失うことになり、モラルだけでなく作戦としてもよくないのである。やっぱりこれも編集者の問題だ。本でトラブルが起きた時は、著者に代わって出版社が対応する。唐沢氏の読者があまりこういうサイトを見ないのであればまた違うのだろうが、かなりの数かぶっていると思う。誰がこれだけ問題を指摘されている著者の本をお金を出して買うだろうか。

もう少し担当編集はこの現実を直視して行動してほしいと思う。

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続・バーバラ・アスカ氏への返信

バーバラ・アスカ氏のブログに載せられた私への手紙に対しての返信です。
http://blog.bestseller.jp/?eid=325
なせか公開というスタイルで行われているので、それに合わせてます。


はじめにお詫びを。すいませんでした。「バーバラ・アスカ」に訂正しておきました。

というわけで、やっぱり思ったとおり意見は合わないですね。合わないのは仕方ないですし、こっちも「自分の意見が正しい」というつもりもないです。
これ以降はお互いに自分の意見のリピートになってしまうでしょう。でも「雑学の本でガセを入れてはいけない」は一致してますね。それから「『新・UFO入門』問題はすぐにきちんと謝るべきだった」とか、「唐沢俊一はクロ」とかも一致してます。ただそれらの前提となる「ガセとパクリ」の定義があまりにも違い過ぎちゃって全然噛み合ないです。ここが合わないと全ての議論は無駄になります。でもとりあえずバーバラさんの意見はよく分かりました。

検証blogを読まないことに関しても「すいません」と言われていまうとそれ以上はもうつっこめないですし。
ただ別の視点で、あれを「読者からの意見」と考えたらどうでしょうか。検証班氏は立派な読者の一人ですよ。
検証blogを読まない理由は個人的に聞いていますし、読む読まないは個人の自由ですが、それでも読者からの意見、感想に目を通さないというのは編集者として「間違っている」と思います。これに反論する人はいないと思います。自分は先輩編集者に「読者からの意見は宝の山と思え」と教えられましたよ。
もちろん読者からの意見であっても、感情による根拠なき誹謗中傷や、本の内容ではない人格攻撃などには耳を貸す必要はないですが、検証blogはそういったものではないことは保証します。

質問にあった「肝心なところ」というのは検証blogで、指摘されている数々の盗用です。ガセは百歩譲って「無知であった」でバカにされるだけで済まされると思いますが、盗用は罪ですよ。検証blogの中でその犯罪の証拠がきちんと示されています。ここを無視して「時代」「文化」のせいにしてはいけないということでした。

唐沢氏が自分に対して「迷惑」だと言ったことの背景には「自分が検証blogを面白がっている」という理由があったと思われます、実際にそう言われました。つまり、本当に心配しているのではなくて、からかっているのだと。本当にあの時は『唐沢さんのアタマの中の消しゴム?』と心配したんですけどね。しかし、その真偽は実はどうでもいい。これもやっぱり肝心な問題を逸らしています。話は「検証blogには耳を貸すべき内容が含まれている」ということだったのが、いつの間にか「面白がってそういうことを言われて迷惑である」ということになってしまっている。「担当編集としてあんなヨタblogを信じるなんてけしからん」とかだったら、そこから話は「どの部分がヨタなんですか」などと発展させられたんですが

あまり長くなってもいけないので、このくらいにしておきます。

そうそう、「唐沢俊一の人気の秘密は?」という質問ですが、これはまた別の機会に返答させて下さい。

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バーバラ・アスカ氏への返信

一昨日、唐沢氏の担当編集の一人、バーバラ・アスカ氏より「ガセパクリ問題をどう考えているか」の質問に対する返事を頂きました。私信かと思ったら、同じものを自身のブログでも公開されていました。
http://blog.bestseller.jp/
なので、返信に関してもバーバラ氏のスタイルに合わせて公開したいと思います。


バーバラ・アスカ様

メールありがとうございました。

まずはっきりとさせておきたい自分の立ち位置ですが、自分も唐沢氏の編集担当でした。なのでいまいろいろと検証されているガセやパクリについて、あれこれと言える立場ではないです。加害者と被害者の関係で考えれば加害者の方です。その責任を感じ、自分のブログで、なぜこういうことが起きたのか、その原因と仕組みを検証しています。その理由はこのことを関係者全員に知ってほしいと思っているからです。そしてそれを知った上で、後はそれぞれの関係者が個人個人どうすればいいかを考えればいいと思います。

さて、まず最初に素朴な疑問です。

>何しろ検証blog読んでいませんから
と書いていますが、なぜ読まないのでしょうか。なんだか「訴状を読んでないので今はコメントできない」と言われているようです。検証blogにはバーバラさんの編集した『博覧強記の仕事術』についての詳細な検証もされています。自分の作った本が、どう評価されているのか興味ないですか? 確かに全体のボリュームとしては相当量ありますが、自分の関係したところだけでもいいのでぜひ読んでほしいと思っています。

次に全体を通してのバーバラさんの論調ですが、正直ちょっと苦しいなあと思いました。
具体的な箇所で言うと

>ガセとパクリが許されるかどうか、は「時代」と「文化」(慣習)によって決まるのだと思います。
という一文がありますが、もちろんそういう例もあるでしょう。でも唐沢氏の仕事にそれを当てはめるのは違うと思います。昔の『少年マガジン』を「時代が許していたガセ」と書いていますが、同じようなウソニュースは今でもミリオン出版などの雑誌などではありますし。でも唐沢氏の場合は「トリビアの泉スーパーバイザー」という肩書きや、雑学博士など本人も周囲もそのような人物として認識していたと思います。中岡俊哉として書いていたわけではないでしょう。「雑学」とは専門分野を定めずに雑多な学問を研究することで、そこには「研究している内容にウソがあってもいい」などということはありません。それにほとんどの読者は唐沢氏の書いてきたものは本当のことだと理解して本を買っていたはずです。

>「ウソかホントかわからない怪しげな情報を『本当にあったこと』として発信し、それがかもしだす怪しげな雰囲気も含めて楽しむ」ということだと思います。

これはガセを正当化するための、ただの後づけの苦しい言い訳としか思えません。もし仮にいま現在はそういう立場で書いているとしても、そうなると、その時々の自分の状況によって態度をくるくると変える信頼出来ない人ということになってしまうのでは。

>おそらく「怪しげな雰囲気」を出すために「ガセ」も入れる必要があったのだと思います。
これも全く意味が分かりません。もちろん見せ方として「怪しげな雰囲気」を出すことは必要な時がありますが、それだったら編集的テクニックとして「イラストや装丁を怪しくしてみる」とか他に出来ることはたくさんあるのでは。少なくとも雑学の本でガセを入れては絶対いけないことぐらい分かるはず。

パクリについても同人誌の二次創作の例を出していますが、あれはみんな自分で描いてますよ、ある意味ではオリジナル。それに元ネタだってはっきりとしている。でもパクリは発覚しない限りは元ネタも分からず、本人は探す以外何の努力もしていないじゃないですか。探すのだっていまは検索エンジンでカンタンだし。同人を「文化が許すパクリ」として唐沢氏のパクリと一緒にしたら同人の人たち怒りますよ、きっと。ただの詭弁にしかなっていないと思います。

 
これを「時代」と「文化」のせいにしてはいけないと思います。肝心なところから微妙に目をそらせて問題をぼやかしてしまっている。盗作なんて昔から罪ですよ、要するに泥棒ですから。いままでただ発覚しなかっただけじゃないでしょうか。

「人々の権利意識の向上」とかも話が大げさ過ぎると思います。要するに編集者の怠慢、見る目がなかった、それだけのことではなかったのではないでしょうか。だからそこをきちんと認めて、謝罪するべきところはして、今後の再発防止に努める、それで終わる問題だと思います。

『新・UFO入門』の盗用発覚後に、唐沢氏に「雑学というスタイルの仕事はもう変えた方がいいのでは」と話した時に、唐沢氏は自分に「実は私も止めたいのだが周囲が止めさせてくれない」と語ったことがありました。これは大事なことだと思っています。つまり仕事を出す編集者がいるということです。仕事が来ればそれは書いてしまうでしょう。もちろん理想は自分の意志できっぱりとスタイルを変えることが望ましいですが、自分だって同じ立場だったら目の前の仕事を断れるかどうか自信はない。だからやっぱり編集者の責任って大きいのです。唐沢氏の状況を理解し、それにあった適切な進む方向をきちんと出せなかった。唐沢氏もこの問題をタブーとせずにむしろ自分から「どうしたらいいだろうか」と周囲の編集者に積極的に相談していけば、よかったんだと思います。「迷惑」などと言わずに。

なんだか耳の痛いようなことばかり書いてしまって申し訳ないが、率直な感想です。でも、見て見ぬフリをしている関係者ばかりの中、どんな内容であれきちんと意見を発表してくれたことはすごく意義のあることだし、その労力に感謝します。


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誰もがやっていることなのか?

前回書いた件、メールを頂いた本人に許可を取ったので一部転載します。

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「コピペ&改変して原稿にしている」に関しては、多くの書き手がやってると思うんですよ。だからその分までソースを探し当てて「またやってやがる~」とたたかれるのは唐沢さんがかわいそうだと思いますね(もちろん、ネット上の情報じゃなくてすべて第1次資料に当たるのが望ましいんでしょうが、雑誌の原稿ですべてそれをやっていると、時間もかかるし、原稿料に見合わなくなっちゃいますもね)。
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この方は編集者だけれど唐沢氏の担当ではない。だから直接の利害関係もない立場からの意見だ。一部抜粋なので、この部分だけが全てであるかのように思われると少し違うのだが。この編集者氏は「みんなやってるからいいんだ」という肯定論よりも「ちょっと気の毒ですね」といった同情論だ。

確かに多くの書き手がやっていることを、まるで唐沢氏だけがやっているかのように言うのは気の毒という感じはする。スピード違反で捕まったからといって、スピード違反が罪なのは動かないことだが、でも印象としてはさほど悪い人に思われないのと同じニュアンスなのだろうか?

そうであるならば「コピペ&改変して原稿」が雑誌界ではさほどめずらしくないということが何かのカタチで証明されなければいけないが、それについては自分は具体的にチェックしたことがないので実態を把握できていない。以前にも書いたがもらった原稿の「コピペ&改変」など調べてないのだ。ただ「いるだろうな」とは思う。その理由として適当な仕事をするライターというのは多いからだ。例えば取材もしてないのにネット等で調べてそれっぽくやっつけてしまうライターはいる。そのような職業倫理の低いライターは存在するのだ。編集者やライターはとくに資格が必要とされる職業ではない、名乗れば誰でもできる仕事だけに、そういった職業倫理の低い者が混じってしまうのは残念だ。編集者にも明らかなパクリ企画を平然とやる者だっているし。

しかし、編集者氏の転載部分の最後「雑誌の原稿ですべてそれをやっていると、時間もかかるし、原稿料に見合わなくなる」という部分も重要である。例えば原稿料がもともと極安の上にさらに叩かれ、ろくにディレクションもできない編集者の気まぐれにいつも振り回されているような下受けプロダクションのライターが、作業分とギャラと締め切りとを考えて、次から次へと作業を流していく過程で「コピペ&改変」という場合もあるだろう。仕事全体が構造的に「安かろう悪かろう」になってしまっているパタンだ。

つまり、こういった特殊なラインまで当てはめてしまえば、唐沢氏にも同情すべき点はあるだろう。しかしその人の名前でたくさんの著書が出せるようないわば「恵まれた環境」(これは事実として書いているのであり、その環境は唐沢氏本人の力で作ってきたものであることは認めなければならない)にあるものが、「コピペ&改変」ではやはり残念だと思う。

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仕事についての評価なのだが

この日記を読んだ方からの感想の中には、「唐沢氏だけが悪いわけではない」といったメールもある。
こうしてオープンなカタチで意見を発表すると、そういった自分には思いつかなかったような側面からの捉え方も発見できて、そのことは素直に嬉しい。結果として自分の見方が偏っていたということもあるし、考え方にも広がりが出る。
……ていうか、もともと自分は唐沢氏だけに責任があるのではなく《自分も含めた編集者の責任》と、ガセや盗用が生み出されるシステムを検証するのが目的で、唐沢氏個人を云々という趣旨で書いたはずではなかったのだが。多少「迷惑」呼ばわりされたことで「それはないのでは」とも思ったが、基本的には個人攻撃が目的ではない。「ライターと編集者」というもっと大きな問題について提起したかった。でも「仕事」について評価が出るのは当たり前のことで、精度の低い仕事を発表すればマイナスのリアクションが出るのも当然のことだ。それは本人のパーソナリティとは関係のない部分。(しかし盗用はちょっと違ってくると思うが)
さて、冒頭で書いたことについては、メールを頂いた本人に許可を取ってから転載したいと思う。

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